【小説】オリジナル/こみらび/吟遊ウサギ・ありゅふりぇっど


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 キノモリさんはある日、買い物から帰ってきました。
 家のポストに目をやると、一通の手紙。
 自分宛てかな?
 思いながら見てみると、そこには、子供のような文字で、
『ありゅとさま ぴのさま』
 と書いてありました。
「あれ、あの子たち宛てだ」
 キノモリさんがそう言いながら、自宅のドアを開けます。
「ますたー! おかえりだじぇ!」
「ますたー、おかえりなしゃい!」
 いつもどおり、二匹が出迎えてくれました。
「ありゅと、ぴの。これ、誰かから来てるよ」
 二匹に手紙を渡すと、二匹ともしばらくして、「ぽへ?」と首を傾げました。
「ますたー、これ、よめないじぇ~」
「ますたー、これ、よんでよんで~」
 二匹から手紙を受け取り、キノモリさんは「開けるね」と前置きして開封し、読み始めます。
「ありゅと、ぴの。おげんきですかなのだよ。ぽくはげんきなのだよ。このちかくに、ふたりがすんでいるときいたので、こんどうかがいましゅなのだよ。では、こんどあいましょう。    ぎんゆううさぎ・ありゅふりぇっど」
 その途端に、二匹の顔がぱあっと輝きました。
「ありゅふりぇっどだじぇ!」
「ありゅふりぇっどでしゅね」
 ちょっと、待って。キノモリさんが頭を抱えます。
「アルフレッド?」
「のんのん、ありゅふりぇっどだじぇ!」
 ありゅとがドヤ顔で言い返します。
「だから、アルフレッドでしょ?」
「ありゅふりぇっどじゃなくて、ありゅふりぇっどでしゅ」
 言えてないし。
 キノモリさんが苦笑しつつ、二匹に訊きます。
「アルフレッドって誰?」
「ありゅふりぇっどは、こみろんらびっとだじぇ!」
 あー、そうなんだ。それで、その名前ね。
 キノモリさんが頷きながら話を聞きます。
「こみろんらびっとのかくれざとで、いっしょだったんでしゅ」
 コミロンラビットの隠里。
 ありゅととぴのがわらわらいる光景を想像して、キノモリさんはちょっとめまいがしました。
「いつくるんだろーな」
「いつでしゅかねー?」
 そのとき、玄関のほうで、こんこん、と音がなった気がしました。
「はい?」
 キノモリさんがドアをゆっくりと開けます。
 しかし。
 どすっ。
「ぶべらっ」
 ドアが誰かにぶつかったらしく、妙な声が聞こえてきました。
「ああっ! スミマセン、スミマセン!」
 キノモリさんは慌てて外に出ますが、誰もいません。
「……あれっ?」
「ここなのだよ」
 下のほうから声がして、キノモリさんが足元を見ると、藍色の毛の、茶色い帽子をかぶったコミロンラビットがそこにいました。
「アルフレッドさん?」
「いやいや、よくまちがわれましゅが、ぽくは、ありゅふりぇっどなのだよ。ありゅふりぇっどなんていうなまえではないのだよ」
 やっぱり言えてないし。
 キノモリさんは苦笑しながら、ありゅふりぇっどを家に招き入れました。
「ありゅとー、ぴのー!」
「ありゅふりぇっどー!」
「ありゅふりぇっど~!」
 三匹ががっちりもふもふと抱き合います。本当に久しぶりなんでしょう。
 キノモリさんは三匹のために、コーヒーと紅茶を淹れ始めました。ぴのはコーヒーがあまり好きではないからです。
「ありゅふりぇっどさん、ちょっと待ってくださいね。コーヒー淹れてますから。あ、コーヒーお嫌いでしたら、紅茶もありますよ」
「こーひーがいいのだよ」
「そうですか。よかった」
 ありゅふりぇっどがかぶっていた帽子を取り、ここにおかせてくだしゃいなのだよ、と案内された座布団の上、隅っこにちょこん、と置きました。
「はい、コーヒーどうぞ」
「ありがとうございましゅなのだよ」
 ありゅふりぇっどはコーヒーと紅茶を運んできたキノモリさんの顔をじっと見ました。
「ん? なにかついてます?」
「……お、おかしもほしいのだよ……」
 ああ、やっぱりコミロンラビットなんだ、この子。
 すると、ありゅとが、大事なあがりこをありゅふりぇっどに勧めます。
「おりぇのあがりこ、くえ!」
 ぴのも、
「ぽくのぽんざりんぐもいいよ~」
 と、勧めます。
「ありがとうございましゅなのだよ」
 ありゅふりぇっどがあがりこをポリポリとかじり、キノモリさん特製ポンザリングをはぐはぐと頬に入れ、コーヒーを一口飲んだところで、ぷはぁ、と一息つきました。
「にほんはいいところなのだよ。おかしはおいしいし、ごはんはおいしいし、じんじゃやおてらはあそんでたのしいし、まさにさいこうなのだよ」
「そうですか。それはよかったです」
 キノモリさんが微笑みます。
「ありゅふれぇっどさんは、全国を旅して回ってるんですか?」
「そういうことなのだよ」
 キノモリさんがとっておきの、きなこもちチロロチョコを出しながら、へぇ……と言いました。
「あ、きなこもちチロロです。どうぞ」
「ありがとうございましゅなのだよ」
 三匹の手では開けられそうにないので、キノモリさんは十個全部を開けてあげました。
「うぐ、うむ。おいしいのだよ」
 ありゅふりぇっどの食べっぷりも、結構、見ていて楽しいものがあります。キノモリさんはその食べっぷりに惚れ惚れしました。
「ありゅふりぇっど! きょうはとまってくといいじぇ! ますたー、いい?」
「うん、ありゅととぴののお友達なら、もちろん歓迎だよ」
 キノモリさんが言うと、ありゅととぴのがわきゃわきゃと喜びます。
「やったー! ありゅふりぇっど、ぽくといっしょにおふりょ、はいろうね~」
「ぽくは、おふりょ、にがてなのだよ。でも、ぴのといっしょなら、はいってもかまわないのだよ」
「じゃあ、おれもはいるじぇ! ふたりいっしょなのに、おりぇだけなかまはずれは、ずるいじぇ」
「じゃあ、みんなでいっしょにはいるのだよ」
 キノモリさんはニコニコしながら、それを見ていました。
 こんなに二人が嬉しそうなら、もう一人、同居人、増えてもいいかな。
 そんなことを思いながら。

 ********

 しかし、翌日。
「ますたー! ありゅふりぇっどがいないんだじぇ!」
「またへんなかみ、おいてどっかいっちゃいまちたー」
 二匹のぴぃぴぃという泣き声で目が覚めたキノモリさんは、急いでロフトから降りて、ありゅふりぇっどが置いていったと思われる手紙を声に出して読み上げました。
「みんなへ    きのうはたのしかったのだよ。ぽくも、みんなにあえて、うれしかったのだよ。でも、ぽくは、さすらいのぎんゆううさぎなのだよ。いっかしょにとどまってちゃ、だめなのだよ。だから、また、たびにでるのだよ。またすぐ、もどってくるのだ。だから、しんぱいしないで。ありゅと、ぴのをたのむのだよ。ぴのはなきむしだから、きみがいないと、だめなのだよ。ぴの、ありゅとをとめられるのは、きみだけなのだよ。ありゅとがあぶないことしてたら、きみがとめてあげるのだよ。ますたーさん、おせわになったのだよ。ますたーさんの、こーひーも、てりょうりも、とても、おいしかったのだよ。では、またあえるひまで。    ぎんゆううさぎ・ありゅふりぇっど」
 ちょっと、二人には難しい内容だったね。
 キノモリさんが寂しそうに笑って、手紙をしまいました。
「またすぐ、来るって。だから、いい子にしてろって」
「わかった、いいこにしてる!」
「うん、いいこにしてましゅ!」
「よーし、二人とも、いい子だね。そうしてれば、すぐ、会える、から」
 あの子、楽しそうだったけど、寂しそうだったな。
 キノモリさんが思い出して、二匹には判らないように、そっと涙を拭きました。
 出しっぱなしの座布団を見ると、ありゅふりぇっどの被っていた帽子が、そのままの形でくたっと置いてありました。
「きっと、帰って、くるよ……」

 ********

「へっきし。なのだよ」
 ありゅふりぇっどがくしゃみをします。
「……こんどはどこにいくかは、じぶんしだい、なのだよ」
 そう言って、ありゅふりぇっどは口笛を吹きながら、街のクリスマスイルミネーションに包まれた雑踏に紛れて、姿を隠しました。
 ……ありゅふりぇっどが、次に現れるのは、あなたの街かもしれません。

おしまい。


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