【小説】オリジナル/こみらび/おにくばたけのぱるなちゃん


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「二人とも。ちょっと、『おにくばたけ』さんに行って来るよ」
 土曜の午後。キノモリさんがありゅととぴのに言います。
「あーうー。おりぇも『おにくばたけ』いきたいじぇー!」
「ぽくもぽくもー! ますたー、つれてってつれてって~」
 二匹が言うので、キノモリさんは、しょうがないなぁ、と笑いながら、フードのついている上着を着て、二匹をフードの中に、ぽふっと入れました。
 玄関を出て、鍵を閉めて、一路、はなまる商店街へ。
 住宅街を抜け、お気に入りの喫茶店の横を通り、公園の横を通り……見えてきました。商店街の中ほどにあるのが、お肉屋さんの『おにくばたけ』さんです。
 『おにくばたけ』の自動ドアをくぐると、エプロンを着た女の子がにこっと笑います。
「ああ、キノモリさん。ありゅとくんと、ぴのちゃんは?」
 この女の子は、ぱるなちゃん。『おにくばたけ』のおばちゃんの、姪っ子さんです。確か、今年、高校二年生。
 彼女が言う、『キノモリさん』とは、キノモリさんのことです。
「ここにいるじぇー!」
「ここにいましゅよー」
 ありゅととぴのが、キノモリさんのフードから降りて、ぱるなちゃんの元へぱたぱたと歩いていきました。
「うー、可愛いなぁ、可愛いなぁ。よしよし」
 ぱるなちゃんが、二匹を両手で掬い上げて、ぎゅっと抱きます。
「おばちゃーん。ありゅとくんとぴのちゃん来たよー」
 彼女が、自分の伯母さんを呼ぶと、呼ばれたおばちゃんが、奥からいそいそと出てきました。
「大量注文が入ってねぇ。ポテトフライ揚げてたんだよ。店頭に並べる分も、追加して揚げてたから、ありゅとちゃん、ぴのちゃん、食べてくだろう?」
 二匹が、ぱるなちゃんの腕の中で、「いい?」「いいでしゅかね?」と、キノモリさんを見上げます。
「おばさんにいいって言われたら、いいよ」
 ありゅととぴのの瞳が、キラキラキラ、と輝きました。もう、二匹とも、ポテトフライのことで頭がいっぱいのようです。
「勿論さ。食べていっておくれよ! あんたも食べていくかい? 揚げたては格別のおいしさだよ!」
「あ、じゃあ、頂きます。いつもありがとうございます」
 座っておくれ、持ってくるから。
 おばちゃんはそう言うと、店の奥に消えていきました。キノモリさんはテーブル席に腰を下ろします。ぱるなちゃんも、その向かいに腰を下ろして、二匹をテーブルの上に乗せました。
「ねぇねぇ、キノモリさん。このコたち、なんでも食べれるの?」
 ぱるなちゃんが尋ねました。
「うん、なんでも食べれるよ」
 キノモリさんが答えると、ありゅとが両手を振り回します。
「おりぇたち、ほうれんそうは、たべれないじぇ!」
 それに倣って、ぴのも両手を振り回し始めました。
「ぽくたちは、ぴーまんも、たべれないでしゅよ!」
「え、キノモリさーん。食べれないものあるじゃん」
 すると、キノモリさんが一言。
「二人の言ってるのは、単に『嫌いなもの』なだけ」
 図星だったのか、二匹は、ぺへっ、と笑います。
 そこに、おばちゃんが、揚げたてのポテトフライを持ってきました。
「はい、お待ちどうさま」
 芳しい匂いを、一同は胸いっぱいに吸い込みました。
 と、そこに、キノモリさんが気づきます。
「このソース、いつもはついてませんよね?」
 そうなのです。
 おばちゃんの持ってきてくれたポテトフライの脇には、いつもはついていないソースが、アルミカップに入って、ついてきました。
「このソースはね、ぱるなが作ってくれたんだよ。今日のお昼に使ったんだけど、余ったからオマケさ。つけて食べてみておくれ」
 へぇ。
 キノモリさんの頬が思わずほころびました。
「ぱるなちゃん、お手伝いかー。えらいね~」
「えへへ。さ、ありゅとくん、ぴのちゃん! いっぱいお食べー!」
 言われるや否や、ありゅととぴのは、コロコロとしたポテトフライを両手でわしっと掴み、ソースをめいっぱいつけて頬張りました。
「うみゃいぜー!」
「おいしいでしゅ」
 二匹の手は、ソースでべたべたです。
 帰る前に、ウェットティッシュで拭いてあげよう。
 キノモリさんはそう思いながら、割り箸を割りました。
「キノモリさんも、食べてみて!」
 ぱるなちゃんに言われて、ポテトフライにソースをつけて食べてみます。
 おいしい。
「うん、おいしい。これ、どう作るの?」
「マヨネーズに、ほぐした明太子を入れるんだよー」
 ああ、なるほど。
 料理好きのキノモリさんが頷きます。
「あ、明太子とジャガイモを混ぜるときにやる、あの要領ね」
 キノモリさんはそれを『タラモ』と呼んでいます。『タラコ』と『ジャガイモ』で、この名称なわけです。
「え、なにそれ?」
 ぱるなちゃんがその話に食いつきます。
「ジャガイモふかしてマッシュして、マヨネーズで和えるときに明太子入れてごらん。おいしいよー」
 キノモリさんの話を頷きながら聞いていたぱるなちゃんは、おばちゃんのほうに向き、「聞いた? 今度やって!」と、おねだりしました。
「それで、あんた。今日のご用件はなんだい?」
 おばちゃんが、棚を整理しながら、キノモリさんに訊きます。
「あ、豚肉バラ肉を100gください」
「あいよ。量るから、ちょっと待っておくれ」
 おばちゃんはそう言って、量りだします。
「豚バラかぁ。キノモリさん、今日はなににするの?」
「ん、今日はねー、もやし……」
 そこまで言ったキノモリさんの言葉を聞いて、ありゅととぴのが反応しました。
「もやしといっしょに、むすやつだじぇー!」
「わーい。ぽく、あれ、だいしゅきでしゅー」
 しかし、その間も二匹は、ポテトフライを食べるのをやめていません。
 よく判ったねぇ。
 キノモリさんが笑いながら、最後の一個にしようと決めていたポテトフライを、ソースにつけて口に運びました。残り四個は、このコたちで仲良く分けてくれればいいや。
「はい、量り終えたよ」
 おばちゃんの声を聞いて、キノモリさんはテーブル席から立ち、お金を支払いました。
 テーブルを見ると、ポテトフライはもうありません。アルミカップも、猫が舐めたように綺麗です。……実際は二匹のどちらかが舐めたに違いありませんが。
 キノモリさんは、バッグからウェットティッシュを取り出して、二匹の手を丁寧に拭いてあげました。
 そして、二匹をフードの中に入れてあげます。
「ありがとうございましたー!」
 ぱるなちゃんとおばちゃんが、にっこりと笑って、手を振ります。
「じゃあ、また」
「ぱるな、おばちゃん、またあおうじぇー!」
「ぱるなしゃん、おばちゃん、またでしゅー」
 自動ドアをくぐり、キノモリさんは来た道を歩き始めます。
 木枯らしが、キノモリさんの身体に冷たく当たっては去っていきます。
 今日は寒いから、暖かいあの料理は、きっと、とてもおいしいことでしょう。
 このコたち用に、ご飯もいっぱい炊いて、自分用のお酒は、熱燗にしようかな。
 そんなことを思いながら、曇った空に少しだけ夕焼けが見える道を、ゆっくりと、キノモリさんは歩くのでした。

おしまい。


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