【小説】オリジナル/こみらび/こみろんらびっとのハロウィン


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 ありゅととぴのがTVを見ています。
『もうすぐハロウィンですね! 今年も各地でハロウィンイベントがあるそうですが、皆さんは準備できてますか?』
「はろいんって、なんでしゅか……?」
 ぴのがキノモリさんに質問しました。
「西洋のお祭りだよ。子供がお化けの仮装してね、『トリックオアトリート!』ってみんなに言って回るんだよ」
「とりっくおあとりーとってなぁに?」
 今度の質問はありゅとです。
「えっとね、『お菓子をくれなきゃイタズラするぞ!』って意味」
 お菓子、の三文字を聴いた瞬間、二匹の顔がキラキラと輝きました。
「ますたー。ぽく、はろいんやりたいでしゅ」
「ますたー! おりぇもはろいんやりたい!」
 二匹が声を揃えてはろいん、はろいん、と歌います。
 はなまる商店街にはハロウィンの仮装行列があります。
 ……でも、二人が参加するのは危ないよね。子供がいっぱいいるからな……。ポケットから出したら、あっという間に迷子になっちゃうし、かと言って、仮装させるんなら、ポケットから出してあげたいし……。
 キノモリさんは考えながら、お気に入りのコーヒーを淹れることにしました。
 そんなキノモリさんの手が、ふと止まります。コーヒー豆がありません。
 キノモリさんはコーヒーや紅茶を淹れて飲むのが好きです。でも、確か紅茶もなかったし……。
 どうしようかと考えた挙句、コーヒーと紅茶をお気に入りの喫茶店まで買いに行くことにしました。
「二人とも、ちょっと留守番お願いするよ。コーヒーと紅茶買って来るからね」
「はーい、いってらっしゃいでしゅ」
「うぇーい。いってらっしゃーい!」
 キノモリさんは二匹のいってらっしゃいを背に、家を出ました。
 しばらく歩いて住宅街を抜けると、キノモリさんお気に入りの喫茶店『ぽんぽこちゃんの喫茶室』です。キノモリさんはOPENの文字を確認すると、いつもするようにドアを軽く三回叩いてから開けました。
「おや、きみかい。今日はなににする?」
 『ぽんぽこちゃんの喫茶室』オーナー、きぬたさんが目を細めながら声をかけます。
「んー……。ロータスのフレーバーティ、50g頂いていこうかな。前から気になってたんです。それと、マンデリンとロブスタのブレンドをいつもと同じだけ頂けますか?」
 きぬたさんははいはい、と返事をしてから、準備を始めました。キノモリさんは店内を見渡します。店内はいつの間にかハロウィン風に変わっていて、それを見たキノモリさんの脳裏にありゅととぴのが浮かびました。
「ありゅととぴのがねー……」
 キノモリさんの呟きに、きぬたさんは、ん?と耳を傾けました。
「ありゅとちゃんとぴのちゃんがどうした?」
「ん、ハロウィンをしたいっていうんですよ。はなまる商店街の仮装行列に参加させてあげたいんだけど、ほら、あの子たち、人間に比べるとずいぶん小さいでしょ? 迷子にならないか、とか、踏まれちゃうんじゃないか、とか、心配で。気軽にいいよとは言えなくて……」
 キノモリさんがはぁ、とため息一つ。
「ハロウィンねぇ」
 きぬたさんがフレーバーティとブレンドコーヒーを量り終わり、ぽん、と手を打って、キノモリさんに袋を握らせました。
「ねぇ、きみ。心配事がないなら、あの子たちに仮装させてあげるの?」
「そりゃあ、もう。喜んで。衣装作るし、お化粧品も買ってあげますよ」
「ほうほう。そりゃあいいじゃない。じゃ、お会計、ちょっと待ってて」
 きぬたさんはそう言うと、自分の携帯電話でどこかに電話を掛け始めました。
「きぬたです。あのね、ハロウィンパーティやろうと思うんだけど……そう。そうなんだよ、よく判ったねぇ! ……そうそう。うん、じゃあ、今度の日曜の夜とかどうだい? ……ほう、そりゃいい! んじゃ、きみが誘えるだけ誘ってくれよ。うん、こっちも声掛けるから。……じゃあね!」
 きぬたさんは電話を置いて、にこにこと笑い、キノモリさんからお金を受け取りました。おつりを返し、きぬたさんは口を開きます。
「今度の日曜の夜、あの子たち、連れておいで。仮装させてね!」
「え、でも……」
「あの子たちと、商店街の大人と、きみで、ハロウィンやろうよ」
「いいんですか」
「そりゃ、もう! 決まりだからね。仮装、期待してるからね!」
 ありがとうございます、とキノモリさんは何度もお礼を言い、『ぽんぽこちゃんの喫茶室』を後にしました。帰りに、ちょこっと遠回りして、ショッピングセンターの中に入っている100均『タイソー』で色々材料を買い、ショッピングセンター内で子供用の低刺激なお化粧品を買うと、家に帰り、コーヒータイムもそこそこに、二匹の衣装を作り始めました。

 ********

 日曜日の夕方。
「ありゅと、ぴの。これ、ハロウィンの衣装だよ」
 キノモリさんはそこで初めて、二匹に衣装を見せました。
 ありゅとにはドラキュラ伯爵の衣装。ぴのには黒猫の衣装です。
「わーい! きたいでしゅ」
「うわーい! おりぇにも」
 キノモリさんは二匹にそれぞれの衣装を着せてあげます。ありゅとにはタイを結んでやり、マントを装着し、シルクハット風の帽子をつけてあげます。ぴのにはしっぽにかぶせるしっぽカバーで黒猫のしっぽをつけてやり、首には大きな鈴を、耳にリボンを結んであげました。
 最後に、二匹にそれっぽく見えるようにお化粧を施してあげて、さあ、完成です。
「さあ、二人とも。『ぽんぽこちゃんの喫茶室』さんに行くよ!」
「うりゅ? なんで?」
「ハロウィンパーティーをやるからだよ。ほらほら、中に入って」
「わーい、いくいく~」
 キノモリさんは、二匹を上着のポッケに入れて、家を戸締りして歩き始めました。
 『ぽんぽこちゃんの喫茶室』の前に着くと、キノモリさんがいつもするように軽く三回叩いてからドアを開けます。
 その途端。

 ぱーん!

「ハッピーハロウィーン!」
 きぬたさん始め、中にいる人たちがクラッカーを鳴らしてキノモリさん一行を歓迎してくれました。
 『おにくばたけ』のおばちゃん、『やおはち』のすぎたにさん、『てんとうむしでんき』のてんぽさん、『かみや風呂』のかみやさん、『ハッピーファブリック』のはんださん、『はなぞうさん』のそとほりさん、そして、『ぽんぽこちゃんの喫茶室』のきぬたさんが一堂に会しています。それぞれ、おばちゃんが魔女、すぎたにさんがミイラ男、てんぽさんが狼男、かみやさんが猫娘、はんださんがファラオ、そとほりさんがキョンシー、きぬたさんがフランケンシュタイン、と和洋折衷の仮装です。
「すごいですね」
 キノモリさんが言うと、おばちゃんがあっはっは、と明るい声で笑いました。
「ありゅとちゃんとぴのちゃんの仮装が見たい人集まれ、って言ったら、商店街全員になっちゃったよ。で、あの子たちはどんな格好をしてるんだい」
 彼女の声で、ありゅととぴのがポッケから飛び出します。
「おお、可愛いねぇ!」
「ありゅとちゃんはドラキュラかぁ!」
「ぴのちゃんは黒猫だね。いやぁ、似合うなぁ……」
「見てよ、これ。この尻尾がよくできてるよ」
「いやいや、このシルクハットみたいな帽子もすごいね」
 みんなが口々に褒めると、二匹は照れくさそうに「えへー」と笑いました。衣装を褒められて、キノモリさんも嬉しそうです。
「で。ありゅとちゃん、ぴのちゃん。なんて言うか知ってる?」
「とりっくおあとりーとでしゅ!」
「とりっくおあとりーとだじぇ!」
 二匹が口をそろえて言うと、七人から同時にはい!と様々なお菓子が配られました。
「ぷふー! しゅごいでしゅ!」
「ぷふー! しゅごいじぇー!」
 同時に上がる声に、みんなが思わず笑います。
 そこに、フランケンシュタインのきぬたさんが奥から大人向けのお酒と食べ物を持って登場しました。
「こっちはきみたちは駄目。大人向けね。じゃ、みんな。乾杯しようか」
 8人は、グラスを手に取り、乾杯!と、それをカチン、と合わせました。
 キノモリさんは全員に「これ、食べさせてあげてもいいですか?」と訊き、許可を貰うと、貰ったお菓子の封を開けてあげます。
 きぬたさんが二匹にイチゴオレを注いであげました。
「みんなだいしゅき!」
「ありがとうだじぇ!」
 二匹がそう言いながら乾杯します。
 さあ、わいわい楽しい夜の始まりです。

おしまい。


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