【小説】オリジナル/R刻番外編/決意


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カツカツカツ……。
カツカツカツ……。
研究所の廊下に、2人分の足音が響いた。
アイダのものと、名誉会長のものだった。
2人が向かっているのは10階にあるヘリポート。
まずはエレベーターに乗らなければならない。
「今日の実験は面白い見世物だったぞ、ルア」
ニヤニヤしながら、名誉会長が、息子のアイダに言う。
「『始まりの1人』の、イイダ研究員の『パワー』があそこまで完成されたものだったとはな」
「お父さまはイイダが『始まりの1人』だと知っておられたのですか?」
訪ねるアイダに、勿論だとも、と、返す名誉会長。
「彼は『ノヴァアカデミー』の前身である、『サイキックアカデミー』の主席卒業生だからな。しっかりと記憶しているよ」
『ノヴァアカデミー』とは、アイダ財閥が運営している、『パワー』能力者を集めた高等学校である。今も機能しており、ここの研究所の研究員もそこで育てられる。
「……」
アイダは、自分の妹たちのコトを思った。
彼女たちも、『サイキックアカデミー』に入る予定だった。
サクラの弟である、蘇良と一緒に、亡くなるまでは。
……悲劇は、繰り返したくない。
「しかし、お父さま。R1を廃棄にせずともよいのでは? R2はバーストに特化したタイプのようではありますが、他の能力に劣るように見えます。実際、彼はテレパス能力を使えないようでして……。人間兵器を作るのであれば、オールマイティタイプのR1か、彼の血を受け継いだ者が適切に思えます」
「人間兵器は、何もR2で作るとは言ってはおらんよ。R2とR3を掛け合わせた者を作ればよい。R2は、その性格が兵器向けだと言ったのだ。あの激情型で、ストレートな性格がな」
だから、なのだよ。
「R2が父親になれば、その子供もきっと、あの性格に育つだろう。それが今から楽しみでならなくてな」
エレベータホールに着き、アイダが上へのボタンを押すと、すぐにエレベーターが着いた。
2人でそれに乗り込むと、エレベーターはゆっくりと上へと動き出す。
「しかし……」
「くどいぞ、ルア」
アイダの言葉は名誉会長に遮られた。
「お前がR1のことを気にかけているのは判っている。だがな、R1の価値は、その特殊能力であって、彼自身ではないのだよ。そこをお前は判っていない」
エレベーターが10階に着いた。
ヘリポートは目の前だ。
名誉会長は、うやうやしくする幹部に付き添われて、ヘリコプターに乗り込んだ。
「ルア。最後に言っておく」
「何でしょう、お父さま」
「R1を人間だとは思わないことだ。第一、あれらの遺伝子には、植物のそれも混ざっている。他の人間にはありえない髪色が、その証だ」
「……判って、おります」
ガシャン。
パタタタタ……。
ヘリが飛び立っていった。
アイダはある決意を胸にしながら、それを見送り、踵を返し、医務室へと急いだ……。

END.


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