【小説】オリジナル/こみらび/そして、きょうへと続く道


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 おにくばたけさん閉店から、何ヶ月か後。
 キノモリさんはありゅと、ぴの、ありゅふりぇっどを連れて、おにくばたけさんだったところへ行ってみました。
 お店は取り壊され、更地になっていて、次の建物を建てる準備をしていました。
 依頼人は、当然のように、アシタバさんではありませんでした。
(本当に……いなくなっちゃったんだよね……)
 くるりと、はなまる商店街の反対方向へ足を向けます。
 新規のお肉屋さん、開拓しなきゃな……。
 中央広場には、商店街の見取り図があります。それを見るために、キノモリさんは中央広場に向かいました。
 はなまる商店街は、中央にある、通称『虹広場』を真ん中に、四つのエリアに分かれています。
 おにくばたけさんがある、アゲハエリアは一番小さいエリアでしたので、ほかのエリアに行けば、お肉屋さんがあるかもしれません。
 引っ越してきてからまだ年月が経っていないキノモリさんは、ほかのエリアには殆ど行ったことがなく、何があるのか分かりませんが、行ってみる価値はありそうです。
「この、赤い実エリアに行ってみようかな」
 赤い実エリアは、はなまる商店街中、一番大きなエリアです。きっと、お肉屋さんもあるに違いありません。
 初めて歩く赤い実エリア。
 こみらびたちもキノモリさんも、興味津々に見回します。
「いいにおい しましゅねー」
「たべものやさんが たくさんだじぇ」
「かいたくが たのしみな えりあなのだよ」
 そうなのです。
 赤い実エリアはまだまだ拡大中のエリアで、新しい店舗や外食店が多く、辺りは食欲をそそる匂いで満ちています。
「あ、ここお肉屋さんだ」
 キノモリさんは、ちらと見えた精肉に誘われて、お店の自動ドアをくぐりました。
「いらっしゃーい! あれ、キノモリさん!」
 そこにいたのは、引っ越したはずのぱるなちゃん。
「ぱるな……ちゃん?」
「やだぁ、またお知らせ忘れてたのに、開店当日に来てくれたー!」
 えっえっ。
 キノモリさんは今ここで起こっている現実に、思考能力がついていかなくて、混乱し始めました。
「えっ、引っ越し……って……。えっ、なんでここに……? えっ?」
「これはもう、運命だよね! ねっ、おばちゃん!」
 彼女が言うと、奥から見慣れた顔の女性が出てきました。
「そうさねぇ……。あ、開店セールだから、なんでもあるよ! 買ってかないかい?」
 おばちゃんです。まぎれもなく、おにくばたけの、あの、おばちゃん。
「お゛ばぢゃん゛と ぱる゛な゛がい゛るじぇー!」
「あいたかったでしゅ、ふたりともー!」
「げんきそうで なによりなのだよ……」
 こみらびたちは、口々に言って、キノモリさんのフードの中で泣き始めました。
 首の後ろがこみらびたちの涙や鼻水でひどいことになっていますが、それにもめげず、キノモリさんは疑問を二人にぶつけます。
「おにくばたけ、閉店したのでは……?」
 ぱるなちゃんがこくん、と頷きました。
「うん。老朽化で」
 老朽化。
 確かに、おにくばたけは清潔だったとはいえ、ところどころに建物の古さが感じられました。
「あそこは住居も兼ねてたんだけどねぇ。六十年もやってると、さすがにガタが来てねぇ……」
 おばちゃんが腕を組んで、うんうん、と頷きます。
「赤い実エリアの多くの店舗に精肉卸してたら、みんなが来ないかって言ってくれてねぇ。ちょうどいい土地見つけられたから、新しい店舗を作ることにしたのさ。アゲハエリアのあの土地も、すんばらしくいいお値段で買い手がついたんでね」
「まあ、アゲハエリアって、はなまる商店街の中では一番古くて格式あるし、一等地だったから。あのお店」
 ねー!
 おばちゃんとぱるなちゃんが向き合って確かめるように、仲良く声を上げます。
「よ、」
 よかったー……。
 キノモリさんがへなへなと座り込みました。
「キノモリさん?!」
「ちょ、ちょっとアンタ! 大丈夫かい?」
 おばちゃんとぱるなちゃんはびっくりして、キノモリさんを立たせ、テーブル席へ座らせてウェルカムティーを出してあげました。
 落ち着いてからよく見回してみますと、取り扱いの品が増えています。
 今までは精肉と、フライ物などのお惣菜だけだったのですが、それに加えて、カレールーなどの肉調理に使うスパイス類、そしてなぜか、子供が食べるような駄菓子もチマッと。
「うみゃそうじぇ!」
「おかし でしゅね!」
「あれは だがしと いうものなのだよ……」
 ようやく泣き疲れたこみらびたちが、駄菓子に目を奪われたようです。
「赤い実エリアはご家族連れが多いんでね。お母さんたちが選んでいる間、お子さんたちは駄菓子を食べながら、テーブル席で待っててもらうって感じさね。これでようやく『あたしの考えた最強のおにくばたけ』が出来上がったよ!」
 おばちゃんが得意満面でガッツポーズをしました。
 それはともかくとして。
「キノモリさん、ありゅとくん、ぴのちゃん、ありゅふりぇくん!」
「『真・おにくばたけ』へようこそ!」
 これは早速、クタさんにも知らせなくっちゃ。
 そう思ったキノモリさんは、顔をほころばせて、はい。と答えたのでした。

 

おしまい。


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