【小説】オリジナル/こみらび/大人の会話


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「ますたーしゃん」
 朝早く。
 キノモリさんがコーヒーを入れていると、後ろから声をかけられました。
 声をかけたのはありゅふりぇっどです。
「ありゅふりぇさん、どうしました?」
 にこりと笑って、キノモリさんは、ありゅふりぇっどのことを見ました。
「はちみつれもんが のみたいのだよ……」
「ん、いいですよ」
 キノモリさんは、あらかじめ沸かしていたお湯で、買い溜めしている希釈タイプのハチミツレモンを作ってあげました。輪切りのレモンを添えて、完成です。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございましゅ なのだよ」
 キノモリさんはコーヒーを持ち、テーブルに着くと、ノートパソコンの電源を入れます。
 『呟きうさぎ』のクライアントを立ち上げると、呟きうさぎに『ありゅふりぇさんと朝早くのコーヒータイムなう。』と書き込みました。
 今日はお仕事の有休消化日です。
 ゆっくりできそう。
 そう思いながら、キノモリさんはコーヒーをすすりました。
 ずずず……
「はあ。はちみつれもんが おいしい のだよ……」
 ずず……
「おいしすぎて、なんだか なけてくるのだよ……」
 そういえば、忘れていました。こみろんらびっとはハチミツレモンで酔うのです。
 そして、ありゅふりぇっどはものすごく絡み酒で、泣き上戸なのです。
「ありゅふりぇさん、落ち着いて」
「ますたーしゃん、おつまみが ほしいのだ……。ぽく、あーもんどが いい」
 確かに、何か食べれば、酔いも覚めるかもしれません。
 キノモリさんは、オストコで買っておいたローストアーモンドをお皿に出しました。
 二人でポリポリと食べます。
「ますたーしゃんは」
 ありゅふりぇっどがポツリ、切り出しました。
「どうして このへやを えらんだのだ?」
 ローストアーモンドを一粒噛み砕いて、ありゅふりぇっどは続けます。
「ありゅとと ぴのは いいやつだけど にんげんしゃんに とっては めんどうだと おもうのだよ」
 ごくり。
 ハチミツレモンでアーモンドを流し込み、ありゅふりぇっどがこちらを見ました。
「ぽくだって いたら、たいへんなのだ。しょくひ かかるのだ。なのに、ますたーしゃんは さんにんも めんどう みてるのだ。えらいのだよ」
「んー……」
 キノモリさんが、恥ずかしそうに頭を掻きます。
「自分が偉いとは、思ったことないです」
 ただ。
「寂しがり屋なだけです。だから、みんなにいてほしいんです」
 キノモリさんが、コーヒーに映った自分を見つめました。
「この部屋は、自分が好きで選びました。ありゅととぴのが一緒だったら、きっと楽しいだろうな、この子たちと一緒にいたいな、って思ったんです。あまり深くは考えていませんでした。フィーリングです。正直、あまり褒められたことではなかったと思います。でも」
 こくん。
 コーヒーを一口飲みます。
 朝なので、ミルクと砂糖を入れたコーヒーは、喉を通って、キノモリさんのおなかを温めました。
「今は、この部屋にしてよかったなって思えます。めんどくさがりだから、栄養不足で倒れた後も自分一人じゃ自炊もしなかったかもしれません。ありゅとやぴのにおいしいもの食べさせてあげたいと思ったら、できましたけど」
 それにね。
「ありゅふりぇさんや、クタさん、ぴっしゅちゃんに会えたのも、この部屋を選んだおかげなんだし、やっぱり、この部屋を選んだのは正しかったんです。みんながどう思ってるのかはわかりませんが、自分ではそう思っています」
 ぶわぁっ。
 ありゅふりぇっどの両目から、涙が溢れます。
「ま、ますたーしゃんは……えらすぎるのだよぉぉぉぉぉ!」
 ああ、酔ってたからそんな話をしたんですね?
 肩を落としたキノモリさんは、まあまあ、とありゅふりぇっどを撫でながら、アーモンドを勧めました。
「ぽくは いいのだ、ぽくは よってないのだ! ますたーしゃん たべると いいのだよ。さあさあさあ!」
 ありゅふりぇっどに勧められて、キノモリさんは苦笑いしながら、アーモンドを口に運びました。
 ローストされたアーモンドは、かすかな苦みと塩気、そして、甘みがありました。
 キノモリさんはそれを味わいながら、人生みたいだ、と思ったのでした。

おしまい。


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