【小説】オリジナル/こみらび/大みそか


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 もうすぐお正月です。
「うん、美味しい」
 ふっくらと仕上がったつやつやの黒豆を味見しながら、キノモリさんは満足げに頷きました。
 三十日に鏡餅やドア飾りは飾りました。
 今日はお節の最終準備。
 こんなものでいいかな、とエプロンを外します。
「ますたー、なんか いいにおいだじぇー」
「とっても あまいにおいがしましゅよー」
「これは あじみしなければ……なのだよ」
 同居人が三匹、てくてくとやってきました。
 なんて鋭い鼻。キノモリさんは苦笑します。
「一粒ずつだからね。それ以上は今はダメ」
 キノモリさんは同居人・こみろんらびっとのみんなの手に、お箸で丁寧に一粒ずつ載せてあげました。
 あーん、と大きなお口を開けて、三匹は黒豆を頬張ります。
 もぐもぐ。
「うみゃーぜ!」
「おいしいでしゅ」
「これは いいくろまめ なのだよ」
 うん、気に入って貰えてよかった。
 重箱に御節を詰めながら、その様子を見て、キノモリさんは一安心。
 ピンポーン。
 玄関の呼び鈴が鳴りました。多分、頼んでいたお屠蘇です。
「はーい、ただいま!」
 重箱に立てかけるように箸を置き、キノモリさんは玄関に向かいます。
 かちゃり、とドアを開けますと、そこにはぱるなちゃんの従妹、ぱるちゃん。
「あれっ、ぱるちゃん」
「お屠蘇、持ってきた」
 彼女がほい、と差し出したのは、確かに頼んでいたお酒です。
「バイト? 偉いねー」
 受け取りながらキノモリさんが言いますと、ぱるちゃんが恥ずかしそうに頭を掻きます。
「バイトって言うか、ウチの手伝いだよ」
 商店街の外れにある酒屋さん。あれはぱるちゃんのおうちでしたか。
 キノモリさんがなるほど、と思います。
「お金は前払いって聞いてるから、これだけでいいんだよね。……あと、ソトホリさんち行って、カミヤさんち行って、ええーっと……」
 ぱるちゃんが頭を抱えました。
 だいぶお疲れのようです。
「少し休んでいかない? 黒豆の味見をして欲しいんだけど……」
 その言葉に、ぱるちゃんが目を輝かせました。
「黒豆、大好物なんだ! 食べさせてくれるのかい?」
「うん。お入り」
 お邪魔しまーす。
 その声を聞いて、こみろんらびっとたちがわーわーと寄って来ました。
「ぱるしゃんでしゅよー」
「ぱるー! あそぼうじぇー」
「ぱるしゃん。こんど、あそびにいきたいのだよ」
 そんな三匹を、キノモリさんがまぁまぁと制します。
「いっぺんに話しかけたら、ぱるちゃんが混乱するでしょ?」
 へへへ。大丈夫。
 そう言いながら、ぱるちゃんは三匹を抱っこします。
「ホント、可愛いなー」
 はい、黒豆。
 キノモリさんが小皿に黒豆を盛り、お客様用の箸を出してあげました。
 ぱるちゃんが三匹を傍に下ろし、テーブルにつきました。
「うわぁ、すっごい美味しそう! これ、キノモリさんが作ったのかい?」
「うん、そうだよ」
「いいなぁ! あたしもぱるなも、料理上手になりたいんだけど……」
 箸を取りながら、ぱるちゃんが苦笑します。
「たまにやるのはいいんだけど、毎日なんてめんどくさそうでやだなぁ、ってぱるなと言い合ってて!」
 頂きます。
 ぺこり。おじぎをして、黒豆を掴むぱるちゃん。
 ぱくっ。
 歯で黒豆をつぶしますと、皮と身との間から、甘くて濃いジュースのような汁がお口いっぱいに広がります。
「これ、おいしい!」
「よかった」
 甘いものをとったので、少し元気になったのでしょう。ぱるちゃんが立ち上がって、よし、と言います。
「元気出てきた! さて、頑張らなきゃ! ぱるなも頑張ってたし!」
「ぱるなちゃんが?」
 うん。身支度を整えながら、ぱるちゃんが言います。
「コミマ。……って言っても判らないか。コミックフリマっていう、日本最大級の同人誌即売会。めちゃくちゃ列できちゃったらしくて、てんてこ舞いだったんだってさ」
「ぱるちゃんは行かなかったの?」
「あたし、冬コミ時期はウチのお手伝いしなきゃだからパスしてんだ。あ、じゃーね。黒豆ごちそうさまでしたー」
 よいお年を。
 言い合って、ぱるちゃんがドアを開けました。
「こみらびちゃんたちも、よいお年を」
 パタン。ドアが閉まります。
「さて、ビールとおつまみの準備もできてるし、クタさんはまだかな」
 これから、クタさんとぴっしゅが来る予定です。
 みんなで越す年は、きっと楽しい。

おしまい。


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