Rの刻印

【小説】オリジナル/R刻/Rの刻印

海岸線を走る、白い車。 その後部席で、不機嫌そうに海岸を見つめる少年がいた。 車の少し手前には、目的地の白い建物が、丘の上から顔を覗かせている。 「不機嫌そうだな」 助手席に座っている、サングラスの男が少年に話しかける。…

【小説】オリジナル/R刻番外編/決意

カツカツカツ……。 カツカツカツ……。 研究所の廊下に、2人分の足音が響いた。 アイダのものと、名誉会長のものだった。 2人が向かっているのは10階にあるヘリポート。 まずはエレベーターに乗らなければならない。 「今日の…

【小説】オリジナル/R刻番外編/ハッピーバースディ

「んーと、あと、これとこれと~……」 「おい、メル。買い過ぎだっての……」 アルトは、メルと、という珍しいコンビで、サクラの借りているマンションから近いスーパーに買い物に来ている。 リノとアイダが無事に研究所から脱出でき…

【小説】オリジナル/R刻番外編/きっと二人で歩いていける

一月一日。 サクラの借りているマンションで暮らし始めたアルトたちにも、新年が訪れた。 「はい、これ。アルトとメルちゃんに。お年玉だよ」 あけましておめでとう、の挨拶をした後、アルトとメルには、小さなぽち袋が渡された。 ア…

【小説】オリジナル/R刻番外編/甘い香りは誰が香り

隣で眠っていたリノにそっと口づけ、アルトは起き上がった。窓からの太陽の光が、リノの白い肌を照らしている。 「……」 アルトはもう一度、リノに口づけた。甘い香りが、彼の鼻腔をくすぐる。リノの匂い。同じ石鹸を使っているのに、…

【小説】オリジナル/R刻番外編/コーヒーの思い出

「……コーヒー、切れたか」 袋を覗き込んで、ルアが呟いた。袋は空。残るのは、薄く作られたコーヒー。 こんな薄いコーヒーでは、飲んだところでまずいだけだ。彼はそう思い、勿体無いが流しに捨てることにした。 「……」 流れてい…

【小説】オリジナル/R刻番外編/少しずつ……

えーっと、えっとね。 リノがわたわたして、説明する相手は、自身の最愛の人、アルト。 「色々なものが百エンで買えてね、とっても楽しいところってメルちゃんが言ってたの」 ああ、百エンショップね。 説明を受けながら、アルトが思…

【小説】オリジナル/R刻短編/間違い

「ん?」 シホが冷めてしまったクレープを食べていると、濃紫のさらさらとした髪がちらっと見えた気がした。 ワゴン車の後部ドアを開け、彼女はその人影を追いかける。 ああ、やっぱりアルトくんだ。珍しいな、リノくんと一緒じゃない…

【小説】オリジナル/R刻短編/キミノイロ。

「う、うぅ……」 真夜中。 アルトは、リノの悲痛なうめき声で目が覚めた。 「あ……ぁ」 隣に寝ているリノは、左の二の腕を抑えながら、丸まっている。 パチン。 アルトは部屋を明るくしたあと、すぐにリノの傍に戻って、彼の肩を…

【小説】オリジナル/R刻短編/星

「空には電気がいっぱいだねー」 リノが夜空を見上げながら言った。 アルトからは、彼の左目しか見えないが、エメラルドの瞳が星を映している。 アルトは、リノと同じ配色のオッドアイで、彼を見つめた。 きらきら光る左目が、アルト…