【小説】岩男EXE/inter_weB AnotherSite『これは戒め。これは弔い。』


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「祐一朗さん、それは?」
彼女は、僕の研究着の左胸にあるマークのことを問う。
「熱斗とあの子……サイトのマークに似てるわ」
妻は、僕といるときのみ、ロックマンエグゼのことをサイト、と呼ぶ。
自らの子供であった証だと、はる香は悲しそうに笑った。
もうどこにもいないし、今もここにいるのよね。
エグゼがスリープしている画面を見て、慈しむように画面を撫でる彼女を、僕は美しいと思う。
「これは戒めだよ」
僕は呟くように、問いに答えた。
エグゼのマークは、パートナーである熱斗の色……黄色を基調に作られている。
このマークと、エグゼのマークが若干違うところ。
それは、黒を基調に作られていることだ。
黒は死の色。弔いの色。
これは、僕が喪に伏している証なんだ。
「僕は一生背負っていく。息子の死を、息子を無理矢理眠りから覚ましてしまったことを」
そして一生忘れない。我が息子、彩斗のことを。僕が蘇らせたサイトのことを。
「わたしにも、背負わせて。あなたの心の荷物、少しでも」
僕は妻の手を取り、モニタを見た。
「ああ。……ありがとう、はる香」
エグゼ。
僕の息子。
キミと、キミのパートナーに、幸あれ。
僕はモニタの向こうに祈りを贈る。もう二度と、家族が離れることのないようにという祈りを。
モニタの中の息子は、祈りを受け取ったかのように、うっすらと笑った。

END.


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