【小説】ワートリ/迅×宇佐美/負けないから

そろりそろり。
そうっと出て行こうとする影に、アタシは声をかける。
「迅さん……行くの?」
「ん、なんのこと?」
迅さんはいつもの笑いでアタシを見る。
……行くのよね。アタシが判らないとでも思ってるの?
アタシがそう言うと、彼は、大きな手をアタシの頭に乗せて、ゆっくりと撫でた。
「宇佐美ちゃんには敵わないなー。……大丈夫。おれは負けないからさ」
「……行って、らっしゃい」
あなたのそういうところが嫌いで、大好き。迅さん。