【小説】オリジナル/こみらび/まいごのまいごのおまわりさん


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「まいごのまいごの こみらびぽん」
 ふらんそわが道をとぼとぼと歩いています。
「ふらんそわのおうちは どこですぽん……」
 どうやら、迷子になってしまったようです。
「なまえをきいたら ふらんそわ」
 歌声もだんだんと元気がなくなっていきます。
 こみろんらびっとは帰巣本能が弱く、一度迷子になるとなかなか帰れません。
「おうちをきいても わからんぽん……」
 しょぼんとした顔で、ぽつりと呟くふらんそわ。
 ふらふら……。
 ふらんそわはついにしゃがみ込んでしまいました。
「おなかすいたぽん……。ひもじいぽん……。おまわりしゃんどこだぽん……」
 マエゾノさんは探してくれているでしょうか。
 だとしても、見つけてくれるでしょうか。
 絶望に打ちひしがれるふらんそわ。
 その時。
 なんだかいい匂いがして、ふらんそわは最後の力を振り絞ります。
「こっちいってみるぽん……」

 **********

「はい、どうぞ」
 コトっ。
 テーブルに山盛りのから揚げが出されました。
「こー! からーげだこ!」
「ハッハッハ! 今月も雑草でしのぐ予定だったから助かるヨ!」
 ぴっしゅとクタさんが、山盛りのから揚げと白米を目の前に大歓喜の舞をしました。
「ありゅとがまだまだ作ってますから、いっぱい食べてくださいね」
「いただきまー……!」
 一匹と一人がから揚げご飯にありつこうとした瞬間。
 ガラリ。
「たいほだぽーんっ!」
 窓を開けて、ふらんそわが乱入してきました。
 赤い目は気のせいではなく血走っています。
「ふらんそわが まいごになってるのに おまえら のんきに からーげくってるなぽん! ゆるせんぽん!」
 言ってることがめちゃくちゃです。
 みょーちくりんな乱入者にひるむことなく、キノモリさんがもう一個、こみらび用の座席を用意します。
「ふらんそわちゃんも食べるよね?」
 そして、ふらんそわの前に揚げたてのから揚げと炊き立て白米をコトリ、と置きました。
「どうぞ、おあがり」
「ま、ますたーしゃん……」
 ふらんそわの目からぷわっと涙が溢れます。
「うぇ、ひぐ……」
「迷子になっちゃったの?」
 キノモリさんはふらんそわの小さい背中を撫でました。
「う、ううううう……。おまわりしゃんにあいたいぽん……」
 しゃくり上げるふらんそわに、キノモリさんはうんうん、と頷きました。
「とりあえず、これ食べて落ち着いてね。マエゾノさんには連絡しておくから、ここにいるんだよ?」
 頷くふらんそわに、キノモリさんはスマホを取り出し、マエゾノさんに連絡を試みました。
 通話を待っている間、キノモリさんはふらんそわにご飯を食べるように勧めます。
 ふらんそわは揚げたてのから揚げを一つつまみました。
 ありゅとの揚げたから揚げは絶品で、優しい味がしました。

 **********

「ほんっとーにすみません!」
 ふらんそわを肩にのせたマエゾノさんは手を合わせてキノモリさんに謝意を示しました。
 キノモリさんはいえいえ、と首を振って、後輩こみらびマスターにアドバイスします。
「いいんですよー。ただ、こみらびは帰巣本能弱いみたいだから、気を付けてあげないとね」
 はい!
 マエゾノさんはそう言って、肩のふらんそわに手を伸ばします。
「ふらんそわもごめんよー!」
「だいじょうぶだぽん! こみらびけーさつのえーじぇんとはつよいんだぽん!」
「ふふふふふ。さすが、頼もしいよ」
 キノモリさんに挨拶を済ませ、マエゾノさんとふらんそわは帰路につきます。
「……ほんとうは すごくさみしくて こころぼそかったぽん……」
 そか。
 マエゾノさんは相槌を打つだけに留めました。
「……ありゅとのつくったからーげ、おいしかったぽん」
 それはよかった。
「今度、改めてお礼しに行こうね」
 ぽん。
 ふらんそわの返事を聞いたマエゾノさんは、ゆらゆら、夕焼けの街を歩きます。
 今日の夕飯はたけし屋のから揚げにしようかな。
 そんなことを思いながら。


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