【小説】オリジナル/こみらび/癒しのストリートピアノ


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 とても疲れた週末の帰り道。
 越石駅の広場で、キノモリさんは、素敵なグランドピアノを見ました。
 街の観光名所の写真でラッピングされたグランドピアノは、いわゆるストリートピアノで、誰でも弾けるように設置してある物です。
 それを証拠に、隣にある立て看板に『どなたでもお弾き頂けます』と書いてありました。
 周りを見渡すと、弾こうとしている人は誰もいない様子。
 少し、弾いてみようかな。
 そう思ったキノモリさんは、ピアノに近づいて、ラの音の鍵盤をはじきました。ぽーん、と響く音はとても心地よく耳に響きます。
 次にキノモリさんは、きらきら星を演奏してみることにしました。
 ドドソソララソファファミミレレド。
 少し駆け足で演奏しましたが、その音はとても綺麗で、なんだか疲労が溶けていくようです。
 まだ他に演奏したい人が周りにいないことを確認して、キノモリさんは椅子を引き、腰かけて、足のペダルに足を置きました。
 そして、深呼吸一つ。
 キノモリさんが演奏した曲は、『energy flow』でした。
 1999年に発表された、坂本龍一による癒し系イージーリスニング音楽。
 元々、ピアノ向きの曲であったため、ピアノで弾くには最適です。
 キノモリさんは譜面を思い出しつつ、丁寧に奏でます。
 ああ、なんだか懐かしいなぁ。
 それに、こうやってピアノに触るのも久しぶりだし、なんだかすっごく癒される。
 もし今度引っ越すことがあったなら、楽器が弾ける家がいいかな、ありゅとやぴの、ありゅふりぇさんにも触らせてあげたい。
 思い出しながらの演奏も終わり、立ち上がろうとすると、ちらほらと拍手が聞こえました。
 聴いてくれた人にペコリとお辞儀をして、照れ笑いをしながら立ち去ろうとすると、そこにはありゅととぴの、ありゅふりぇっどが。
「あれ? 迎えに来てくれたの?」
 三匹にそう言うと、三匹はこくこく、と頷いて、キノモリさんに口々に言いました。
「ますたー、きょうは しゅうまつだから おつかれじぇ?」
「だから、ぽくたちが ごはんをつくりまちた」
「ありゅとが からーげつくって、ぴのが ごはんをたいて、ぽくが おみそしるつくったのだ」
 なんて美味しそうな献立でしょう。キノモリさんのお腹がぐぐぅ、と鳴りました。
「わあ、嬉しいな。じゃあ、急いで帰ってご飯にしようか」
 キノモリさんは三匹を抱えて、ピアノのそばから歩き始めます。
 今日はなんていい日なんでしょう。
 先ほどまでの疲れなんか嘘のように、キノモリさんの足取りも、心も軽やかでした。


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