【小説】オリジナル/ブルプリOSs/OrangePain


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 サクサクサクサク……。
 僕が剥いてあげた甘夏を、アルトが夢中で食べている。
「美味しい?」
 僕は爽やかな香りを嗅ぎつつ、双子の兄に訊いた。
「おいしい。あまいね、これ」
 まだまだ片言の共通語をしゃべるアルトは、僕よりずいぶん年下に見えた。
「いっぱいあるから、どんどん食べてね。アルトも大きくならないと」
 サク……。
 アルトは食べるのを中断して、金色の狐目を丸くして僕を見る。
「ね。オレ、ほんとにキミのおにいさん?」
 胸がチクリと痛んだ。
 この子は何も覚えてない。
 過去は僕が奪った。未来はまだ分からないけれど、きっと僕が奪うのだろう。
 それでも、そんな未来を回避してもらいたくて、僕を拒絶してもらいたくて、こんな無駄なことをしている。
「……兄さんだよ。双子だけどね」
 僕はそう言って、皮を剥くのを再開した。
 アルトは成長が止まっている。多分、バヨナ病という、心身の成長が止まる病に罹患したんだろう。
 更に、僕が記憶を消したことによる副作用。
 大きくなるわけが、ない。
 わかってる。そして、どこかでそれを悦んでる。

 コノママデ イテクレタラ カレハ ボクノモノニ ナル。

 その暗い想いに終止符を打つように、頬がチリチリと痛む。
 最近、なにかにかぶれるのか、肌荒れがひどい。
 本当のことを言うと、肌どころではなく身体の中も痛いのだけど、医者に言っても解決しなかったし、もうどうでもいい。
 アルトが僕を覗き込んだ。
「……なに? どうしたの?」
 僕が訊くと、彼はうっすらと目を細める。
「また、おはだ、あれてる」
 兄はそう言って、チリチリと痛む頬を撫でた。
 不思議だ。彼が触れてくれると、痛みが治まる。
「うん。これでよし」
 ふわっと笑う幼い兄を、僕は心底好きだと思う。
 ああ。
 だからこそ自由でいてほしくて、そのままでいてほしくて、笑っていてほしい。
「ほかにいたいところ、ない?」
「え、えっと……。全身、痛い……けど」
「ん」
 彼はそう言って、僕の服を脱がした。
「ほんとだ。いたそう……」
 そして、自らも裸になり、その場でそっと抱きしめてくれた。

 **********

 疲れて眠ってしまったアルトを見て、僕は彼の髪を撫でた。
「……ん、っ」
 ぷっくりとした唇が何やら動く。
 愛しい。
 だからこそ手に入れたくて、めちゃくちゃにしたくて、放したくない。
 間違ってる、そんなのわかってる。
 だから、罰が、当たるんだ。

 ジワリ。

 彼が治してくれた頬が、全身が、また赤くなり始めた……。


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