【小説】オリジナル/ブルプリOSs/※このあとトイレに駆け込んだ


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 マーリンズギルド。
 ここは、魔宝石の換金や、情報のやり取りなどをできる施設である。
 全世界に点在しているこの施設は、魔法使いの憩いの場でもあるため、酒場が用意されている。
 ある夜のこと。
 初老の魔法使いがあげじゃがとエール酒で一杯やっていると、青髪の少年がそばに座った。
「ねぇ、そこのキミ。僕にも一杯奢ってよ」
 世界的に、成人と認められるのは15歳からだ。
 ただ、この少年は年齢があやふやで、15歳以上かどうか怪しい。初老の魔法使いは、断ることにした。
「君はまだ未成年だろう。駄目だ」
 魔法使いの言葉に、見慣れない少年は不服そうにする。
 やがて、彼はエール酒を強奪し、それをぐいっと一気に飲み干した。
 魔法使いがあっけに取られていると、少年がくだを巻きはじめる。それは、どうやら家庭内の愚痴だった。
「だいたいさ、僕は悪くないと思わないッ? 料理だってキチンとしてるしさ! それなのになんで……」
「君、落ち着きなさい」
 初老の魔法使いは少年の背中をさする。
 少年は酔って赤くなった顔で魔法使いを見た。
 そうして、据わった眼でばん、と机の上に出したのは……

 ――――――――黒い塊だった。

「君。ゴミは片づけなさい」
 初老の魔法使いは、少年を叱責する。
 すると、少年は心外そうに顔を歪めた。
「ゴミ?! 酷くない?! チョコレイトだよ! チ・ョ・コ・レ・イ・ト! キミ、チョコレイト見たことないの?!」
 チョコレイトには見えない。魔法使いは心底思ったが、言わないでおいた。
「僕の出身地方ではね、この時期になると、愛する人に手作りのチョコレイトを贈るわけ! それなのにさっ!」
 拳を握り締める少年。その拳はふるふると怒りに震えている。
「アルトくんも君と同じこと言った! 兄さんのバカ! もう嫌いだ~!」
 そう言って、少年はさめざめと泣き始めた。
「……ゴミ……、か」
 ゴミだ。
 目の前にある物体はまごうことなきゴミだ。
 なんなら、ダークマターと言い換えてもいい。
 だが、二度も三度も『ゴミ』と言われたのでは、少し可哀想な気もする。
 ……する、が。
「……ゴミ、だと思う」
 ずっと思っていたことが、初老の魔法使いの口からうっかり出てしまった。
 少年はこれまた心外だ、といった顔をする。
「ひっどーいッ! 君、ドSなのッ?! 僕そーゆー趣味ないですけどッ?!」
 ギャーギャーと喚く少年。高めな声なのが、また耳障りだ。
 騒ぎを聞きつけ、周りに人が集まっていく。
 初老の魔法使いがどうしてくれよう、と思ったところに、人ごみを分け、少年が一人入ってきた。
 驚くことに、青髪の少年と顔が瓜二つだが、紫の髪で、背が低く顔が幼い。
 きっと、弟さんだろう。
 そう思って、魔法使いは話しかける。
「ああ、弟さんかね。すまないが、彼をとめてくれないか」
 弟だと思われる人物も心外そうに顔を歪め(ちなみに、歪ませ方もそっくりだ)、一言申してから、少年を止めに入った。
「すみませんでした。弟がご迷惑おかけしてます。……ほら、アル。帰るぞ」
 兄だったのか。初老の魔法使いは思う。しかし、先ほど青髪の少年……アルといったか……彼が話していた内容によると、少年の想い人なのではないか?
 そんな風に考えていると、アルは相変わらずの据わった眼で、自身の兄に毒を吐く。
「アルトくんは僕の作ったチョコレイトが嫌なんだよねぇ。ご飯だって嫌なんでしょう?」
「……あのなぁ」
「いいじゃんいいじゃん、違う子と仲良くしてれば。もう僕はキミに執着なんかしないよ」
 アルト、と呼ばれた兄が、悲しそうにして俯いた。
「アルフレッド。さっきはごめん」
 アルトの言葉に、アル……本名はアルフレッドなのだろう……がはっとして兄を見た。
 彼は俯きながら続ける。
「お前の誠意を踏みにじっておいて、こんなこと言ってもダメかもしれないけど。オレはお前のこと大好きだから、そんなこと言わないでほしい」
 意を決したのか、アルトは口の中に黒い物体を放り込んだ。
「今更、食べても許されないかもしれないけどな。ごちそうさま。まぁまぁ美味しかった」
 よほど嬉しかったのだろう。見る見るうちに、アルフレッドの頬に紅が差した。
 そして、自分よりもかなり背の低いアルトを抱き上げ、その場でぐるぐると回る。
「アルトくん! やっぱり好き! 愛してる!」
「やめっ、目がまわ、」
 弟は兄を離すと、兄の手を取った。
「今日は記念日だから、いーっぱいごちそう作るねっ」
「ちょ、ちょっとは手加減してくれよ。腕引っ張る力も、ごちそうも」
 二人はずんずんと出口のほうに進んでいって、やがて初老の魔法使いからは見えなくなった。
 初老の魔法使いは胸を撫で下ろし一言。
「なんだったんだ……」

 ちなみに風の噂で聞いたが、このあとアルトは断りきれず、彼の手料理を思う存分味わったらしい。
 その感想を直接聞けないのは残念と思う反面、あの料理にはかかわりたくないと思った魔法使いだった。


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